この恋、危険物につき取扱注意。

そう言い終わるか言い終わらないかのうちにチャイムが鳴った。


沢瀬がバッと顔を上げて、




「じゃあ、また後で来ますんで!」



と、悪い冗談だと思いたい言葉を残して、バタバタと廊下を走っていく。




しばらく走ったところで沢瀬が振り返り、俺に向かって腕が千切れそうなほど大きく手を振ってきた。


本当に、暑苦しいことこの上ない。




もちろん俺が手を振り返すなんてことはなく、不満そうな顔をして、沢瀬は階段の向こうへと消えていった。