この恋、危険物につき取扱注意。

「…なんでそこまで、俺が好きなんだ?」

他人が聞くと、なんて自意識過剰な質問だと思うかもしれないが。


そう訊ねると沢瀬は、


「へっ?」



と声を裏返して、しばらく腕組みをしたままうなっていた。

考えないと出てこないようなものなのか。




「なんでって言われたら数え切れないんですけど…。入学したての頃、私が落っことしたプリントの束、拾ってくれたじゃないですか!」



「あぁ、あれお前だったのか…」




1年生が入学してきたばかりの頃、大量のプリントをばらまいていた1年生を助けたような気がする。



何しろ1年も前のことなので、記憶も曖昧だ。

そんな細かいことをいちいちハッキリ覚えていられるほど、記憶力に自信はない。