俺は短いため息をついて、けれど沢瀬の手を振り払わないまま人ごみの中を進む。
この手を振り解けないのはなぜだろうと一瞬考えて、結論にたどり着くのが何だか怖くて考えるのをやめた。
無理矢理引き剥がすとこいつがうるさいのが目に見えてるからだ。
きっと、それだけだ。
「あ、駿河先パイ!」
「沢瀬さん?」
聞きなれた声に顔を上げると、里季がイカ焼きやカキ氷を両手に突っ立っていた。
「とうとう付き合うことになったわけ?」
「やっぱりそう見えます?」
と、頬に手をやって顔をほころばせる沢瀬とは裏腹に、俺は低い声で、
「違うから」
と言い放つ。
この手を振り解けないのはなぜだろうと一瞬考えて、結論にたどり着くのが何だか怖くて考えるのをやめた。
無理矢理引き剥がすとこいつがうるさいのが目に見えてるからだ。
きっと、それだけだ。
「あ、駿河先パイ!」
「沢瀬さん?」
聞きなれた声に顔を上げると、里季がイカ焼きやカキ氷を両手に突っ立っていた。
「とうとう付き合うことになったわけ?」
「やっぱりそう見えます?」
と、頬に手をやって顔をほころばせる沢瀬とは裏腹に、俺は低い声で、
「違うから」
と言い放つ。


