俺は沢瀬をじろりとにらんで、低い声で言い放つ。


「いつも驚いてる。顔に出ないだけだ」




沢瀬がびくっと肩を縮める。


ちっとも深い理由じゃない。

どうせこんなことだろうとは思っていたが。




「先パイ…。私のこと、キライになりましたか…?」



俺ははぁっと息を吐く。


「安心しろ。元からキライだ」



沢瀬が唇をとがらせて、





「冷たいですね。でもっ、絶対あきらめませんから!」






と言うだけ言って、階段を駆け上がっていった。