「先パイ!沖先パイ!待ってください!!」



もう夏休み中には絶対に聞きたくない声。


反射的に走り出したときには、もう遅かった。




沢瀬の手は俺の服のすそをしっかりと握り締めていて、前につんのめった俺はもう少しで転ぶところだった。



「あっぶねーなぁ…っ。やめろよ、お前」


「待ってくださいって言ったじゃないですかぁっ!」



一呼吸置いてから、沢瀬がへらっと笑う。



「先パイ、大好きですっ」