俺はそう言われてぴたりと足を止める。


「沖?」


里季が少し歩いたところでこちらを振り返って首を傾ける。




…そうか。

夏休みに入ったらもう、沢瀬の顔を見ずにすむんだ。


たった1ヵ月とはいえ、それは俺にとって天国のように思えた。



「よっしゃ」


俺が小さくこぶしを握り締めて珍しく素直に喜んだときだった。