みんなの心がふわふわと浮き足立つ夏休み前の最後の1日、終業式。



全校生徒が体育館に詰め込まれ、じれったい思いで式が終わるのを待つ。


「それではこれで、第…回…高等学校終業式を終了いたします」



その声でみんなが歓声を上げて一斉に立ち上がり、教師の怒声を浴びながら思い思いに散らばっていく。




「沖、帰ろーぜ」


「ん、あぁ」


頭上から注ぐ里季の声に、俺も腰を上げる。


里季が両ポケットに手を突っ込みながらてろてろと歩き出す。




「これでしばらく、沢瀬さんと会えなくなるな」