私の街では初雪が降っている。ふわふわとした真っ白い雪だ。
 大きなショッピングモールもデパートもあるこの街を、私は田舎ではないと言い張るが少し田舎かもしれない。でも嫌いではない。
 窓から外を覗くと幻想的な銀世界に胸を踊らせた。登校中の雪は迷惑なものだが一歩離れたところで見る雪は絵になる。
 私はコートをはおると、手袋とマフラーを持ちブーツに足を通す。外に出ると容赦ない寒さは息を白くさせ、私を震えあがらせた。とりあえず、マフラーを首に巻きつける。これだけでも違うものだ。手袋をはめて手を出すと雪は黒い手袋に水玉模様をつくり暫くするとすぐ消えた。
 傘も持たず、歩きだす。綺麗な雪の絨毯に私が最初に足跡をつけた。なんだか少し優越感にも似た喜びを感じる。後ろを振り返ると私の通った跡は同じ間隔でポツポツと足跡を残していた。
 公園を賑わせていた子供達の姿はなく、遊具はもうしまわれている。暫く公園を見つめていると私だけ雪が止んだ。

「ガキ」

 後ろには傘を持つ、幼なじみと並んだ足跡が残っていた。