「会ったことないって。ふぅん。この学校で、睦のことを知らないヤツなんて、存在したんだ。それはそれで、なかなか貴重な人材だよね」
「いずれにしても、会長の任命は絶対です。残念でしたね」
書棚の前でファイルを開きながら静かにそう言ったのは、同じく二年生の生徒会副会長・長田純先輩。
真っ黒でつやっつやのストレートロングヘアを頭の高いところで束ね、すっと背筋の伸びた立ち姿は、凛としてカッコいい、という表現がピッタリだ。
「ま、退学する意思がない限りはね。じゃなきゃオレだって、好きでこんなとこにいるわけないってー」
「——だったら退学にしてやってもいいんだぞ」
突然背後でした低音ボイスに、ドキンっと心臓が飛び跳ねる。
「あはっ。冗談だってー。どんだけ付き合い長いと思ってんの。今さら切ろうとしたって簡単には切れないよ、オレらの腐れ縁は」
五藤先輩が、ヘラヘラ笑いながら、わたしの背後に立つ人物に向かってひらひらと手を振っている。
「いずれにしても、会長の任命は絶対です。残念でしたね」
書棚の前でファイルを開きながら静かにそう言ったのは、同じく二年生の生徒会副会長・長田純先輩。
真っ黒でつやっつやのストレートロングヘアを頭の高いところで束ね、すっと背筋の伸びた立ち姿は、凛としてカッコいい、という表現がピッタリだ。
「ま、退学する意思がない限りはね。じゃなきゃオレだって、好きでこんなとこにいるわけないってー」
「——だったら退学にしてやってもいいんだぞ」
突然背後でした低音ボイスに、ドキンっと心臓が飛び跳ねる。
「あはっ。冗談だってー。どんだけ付き合い長いと思ってんの。今さら切ろうとしたって簡単には切れないよ、オレらの腐れ縁は」
五藤先輩が、ヘラヘラ笑いながら、わたしの背後に立つ人物に向かってひらひらと手を振っている。



