生徒会所属膝枕係!?

「…………えと、今、なんと?」

 葉月先輩の方に目を戻すと、わたしは念のためもう一度尋ねた。

「だから、膝枕だ。何度も同じことを言わせるな」

 一切恥ずかしがる様子もなく、威厳たっぷりに言い切る葉月先輩。

「仮眠を取るだけだ。それ以外の意味はなにもない」

「お、お断りします!」

 この人、自分がなにを言ってるのか、本当にわかってるの!?

「そんなことのために呼ばれたのなら、申し訳ありませんが、失礼します」

 ぺこりと一礼すると、くるりときびすを返し、一歩足を踏み出そうとしたとき——。

「退学処分か、膝枕か。好きな方を選べ」

「なっ……」

 静かにそう言う声が聞こえ、わたしは思わず振り向いた。

「へぇ~。睦、マジでこの子の膝枕で熟睡できたんだな。あ、こいつさ、ちょっといろいろワケありで、睡眠障害っていうの? もうずっと熟睡できてないんだってさ。そんで、昨日廊下でぶっ倒れそうになったところを、栞奈ちゃんの膝枕に救われたってワケ」

 そう言いながら五藤先輩が葉月先輩の傍らに立つと、葉月先輩の肩に片手をかけ、もう一方の手でわたしを拝む。

「人助けだと思ってさ。なあ、頼むよ」


 そんなこと言われたって……。

 いくら困っている人を放っておけないお節介な性格でも、さすがにできることとできないことくらいある。