改札まで戻ろうとしたら
「水ノ…」
水ノがいた
「コレ、吉永のだよね?」
「あ!うん!
ありがとう
今ないなって気付いて
戻るところだったの」
「このキーホルダー、まだ付けてるんだ
中学の修学旅行のだろ」
「うん、なんでわかるの?」
「オレも同じの買ったから
吉永が買ったの見て同じの買った」
「水ノも持ってるんだ
水ノはもぉ使ってない?
あ、無くしたか!
そーだよね
あれから何年も経ったしね!
あ!話しちゃった、ごめん」
つい普通に話してしまった
スパイがいないか周りを見た
あの時は友達だったもんね
「帰ろう」
「うん」
水ノが駐輪場の方に歩いた
一緒に帰ろうとは言われてない
でもバイバイとも言われてない
友達じゃないからバイバイとか言わないか
水ノの後ろを黙って歩いた
「キーホルダー
もったいなくてまだ使ってない」
水ノから聞こえた
さっきの話の続きだよね?
私に言ってるよね?
「へー…そーなんだ」
「おめでと」
「え?」
「誕生日おめでとう
今日、誕生日だったっしょ」
「あ、うん
みんなでファミレス行ってきた
笹川から聞いてた?」
「いや…誘われてない」
私達、友達じゃないしね
「そっか…
あ、よく私の誕生日覚えてたね!」
「雫月って綺麗な名前だね」
「え?」
「オレがそう言ったら
吉永が梅雨に産まれたから雫月なの…って
だからこの時期になると思い出す」
「あー、そんなこと言ったよね」
水ノ、そんなこと覚えてたんだ
私も覚えてる
名前褒められて嬉しかったから
「水ノ、今日塾だっけ?」
「うん」
彼女と会ってたんだ
でも水ノ
今日は香水の匂いがしない気がする
水ノは彼女と会う時に香水をつけてるっぽい
水ノに少し近寄ってみる
ヤバ、私
水ノの匂い嗅ぐとか
彼女と上手くいってないってホント?
水ノの背中に問い掛ける
ひっかかる?笹川に聞かれた
なにひっかかってるんだ、私
自分に問い掛ける
「水ノ、同じ電車乗ってたんだね
ぜんぜん気付かなかった」
「吉永、ユウと一緒だったから…」
水ノは気付いてたんだ
私が笹川といるの
「うん、帰る方向一緒だもん」
「ユウと付き合うの?」
笹川が私に告白したこと
やっぱり知ってるんだ
「そんなの…
そんなの水ノに関係ないじゃん
友達じゃないから…」
「ユウと友達だから…」
カンジ悪!
「じゃあ、笹川に聞いてよ!
…
水ノはどーなの?
彼女と仲良くやってんの?」
私達のことより
自分の方はどーなんだ
「…」
自分のことは言わないんだ
カンジ悪!
「あ、友達じゃないもんね
私には言わないか…」
友達じゃないから
誕生日のおめでとうもいらないよ



