「コレ、ハジが渡してって…」
「なに?」
笹川(ささがわ)から渡された物は
漫画の新刊だった
「ハジが吉永に…って…
これ吉永も読んでんの?
オレもいつもハジに借りてんの
読んだら貸して」
「うん、面白いよね
私、自分で買うからいいよ
笹川読んでいいよ」
9巻出たんだ
笹川を使うな!
私とは
もぉ絶対喋りたくないんだ
それなら漫画なんて貸さなくていいよ
感想だって話せない
「オマエら、喧嘩してんの?
最近一緒にいないよね」
「喧嘩なんかしてないよ
もぉ友達じゃないから…」
「え?」
喧嘩って友達だからするんだよね
だから喧嘩とかじゃない
喧嘩は仲直りがある
もぉそーゆんじゃない
言葉を交わすこともないし
目が合うこともない
すれ違っても気付かなかった
元々知らなかったみたいに
あの日
水ノが話し掛けてくれなかったら
同じクラスだけど話したことない人
っていう関係だった
そーゆーことにしておこう
そぉ
元々水ノは私の世界にいなかった
「じゃ、オレ借りるよ」
「うん」
「吉永、映画行く?」
「あー、行こうと思ってた」
この漫画の映画が今月公開だった
「吉永、誰と行く?」
誰と?
クラスの友達は行かないだろうな
この漫画読んでることも
みんなに言ったことない
「テキトーに…」
たぶん水ノとまだ友達だったら
一緒に行ってた
「オレ達と一緒に行かね?」
「オレ達…って?」
「さっきハジ誘ったら断わられたから
ハジを抜かしたいつもの4人」
水ノ、彼女と行くのかな?
まさか…
こんな映画行きそうもない人だった
「私も行ってもいいの?」
「別にいいっしょ
友達じゃん!」
「うん、じゃあ…」
「ハジ、彼女できてから付き合い悪くてさ」
「へー…そーなんだ」
でも笹川は友達だからいいじゃん
私は友達からも削除された
水ノ
彼女と上手くいってるんだ
よかったね



