水ノの顔で遊んでたら
水ノが目を開けた



「んー…なに…?」



「水ノ、寝ぼけてる?」



「んー…」



「顔に枕の跡ついてるよ」



「…え…吉永?

そっか…昨日一緒に寝たんだ…」



そう言われるとなんか照れる

隣で寝ただけだけどね



「ねぇ水ノ
次もこのホテルに泊まろうよ」



「…なんでここ?」



「楽しかった」



「お風呂、泡が出るの知ってる?」



やっと目を開けながら水ノが言った



「え!楽しそう」



「一緒に入る?」



「え、水ノと?」



「他に誰?
ふたりで入るから楽しんじゃね?」



「へー…水ノは誰かと入ったんだ」



「入ってないって」



水ノがまた目を閉じた



「あ、次は私が水ノのところ行くね
飛行機大変でしょ」



「いいの?
じゃ、オレんち泊まる?」



「水ノの家?
お土産どーしよ?何がいいかな?」



「そっちの心配?」



「え?そっちって?」



「ま、いいけどさ
このボタン押すとベッド回転する」



「わぁ、すごい!楽しい」



「吉永、あんまり動かないで…
バスローブ、はだけてる」



「え…」



「さっきから、胸見えてる」



「え!ごめん…」



慌ててバスローブを直した



なんかいいムードにならない

ごめん、水ノ







ん?



「水ノ、笑ってる?」



「…」



まさかまた寝た?



え?呆れてる?



「水ノ、なんかごめん
こーゆーの初めてだから…
よくわかんなくて…
うまく雰囲気つくれない」



「うん…いいよ…」



水ノはまた目を閉じた



ごめん…



水ノ、見離さないでよ

不安になった



この先
大丈夫かな?



水ノ、後悔してないかな?



「水ノ…」



「ん…?」



「えっと…今日どーしよ
どこか行きたいところある?」



とりあえずここから出よう



「んー…
吉永のオススメあるの?」



「…ない」



田舎だから何もないって言ったよね

だから来てもらっても楽しくないって



「オレは…もう少しこのままいたい」



「そっか水ノ、眠いよね
せっかくの休みだしね!」



まだ目よく開いてないし



「オレがここに来たのは
観光したい訳じゃなくて
吉永に会いたくて来たから…

吉永と一緒にいたくて来たんだ

だから、もう少しこのまま…
ずっとこのままでもいい」



え…それは…

単純に好きってこと?



「今度オレもおでん屋行きたい
連れてってよ」



「水ノ、おでん好きなんだ」



「特別おでんが好きって訳じゃないけどね
吉永と行きたいな…って…」



「私は、こんにゃくが好き!」



いい雰囲気っていうか
私と水ノってやっぱりこーゆー感じだよね

まぁコレもいいのかな

付き合ったばっかりのカップルとは思えないけど



「オレは…雫月が好き…」



え?おでんにそんな具あったっけ?

しずく

シズク

雫月



ん?私?



水ノは雰囲気作ってくれようとしてるのに
こーゆーのどー返せばいいかわかんないよ



ただドキドキしかできないよ



「雫月って、綺麗な名前だよね」



「それ…前にも誰かに言われた」



「オレ、アレ言った時
スゲードキドキしたの覚えてる」



「ドキドキ?水ノが?え?なんで?」



「女子の下の名前とか呼んだことなかったし…
吉永のこと、なんか気になってたんだと思う」



「そんなこと言ったら私だって
男子に下の名前で呼ばれたことないし…」



「ドキドキした?」



「したかな…
でも、言われたのは覚えてるよ」



「なんだ…
オレだけか…
ちなみに今も、スゲードキドキしてる」



え?

ベッドだけど
バスローブだけど

水ノ、ほぼ半目だし



ドキドキしてるふうには全然見えないけど



しかも初めての彼女できた時
下の名前で呼んでたよね?

今更嫉妬



「雫月…」



「なに?」



「ドキドキした?」



「うん…ずっとドキドキしてるよ」



「へー…そーなんだ
全然そんなふうに見えないけど…」



お互い様でしょ



「水ノ…キスしてよ」



それぐらい言ってもいいのかなって思った



「うん…」



ゆっくり水ノの腕が私に回って



ーーー



優しくキスされた



「水ノの名前、書きやすくていいね…」



水ノが急にそう言った



それキスの後に言う言葉?

意味わかんないし…



「吉永に言われたの覚えてる」



「あー…言ったけど…
水ノ、そんなのも覚えてるの?」



「うん…
一応、褒められたことだし…」



ーーー



またキスされた

コレでタイミング合ってるの?



「水ノ…雫月…」



また水ノに呼ばれた



「ん?なに?」



「水ノ、雫月
なかなか良くね?」



「水ノ…雫月?
それって…」



「いつかなってくれたらいいな…って…」



「私、スカウトされた?」



「…
スカウト…っていうか…

まぁ、いんだけど…」



「水ノ、笑ってるよね?」



「うん…
吉永といると、楽しいな…って…」



「私も楽しい
友達やめても意外と楽しんだね」



ーーー



「アイス、食べ行こうか」



水ノ
キスの後に言う言葉おかしくない?



「うん!アイス食べたい!」



「愛してる…雫月…」



「ドキドキするからやめてよ!」



私達は
こんな感じでいいのかもしれない