水ノの手がゆっくり私に近付いた
その手で私の髪を撫でた
「とりあえず、今
吉永のこと
抱きしめたいな…って思ってる
…
でも嫌われたらどーしよ…って…
…
付き合ってた時も、そーだった
…
オレ、吉永には嫌われたくないんだ」
指先から伝わるもどかしさ
付き合ってた時もそうだった
いつもキスを期待させて
しなかった水ノ
アレは緊張してたの?
水ノのこと
どーしたら嫌いになるのかな?
友達をやめてた時も
嫌いだったわけじゃない
今だって
酔って記憶ない発言にちょっと幻滅したけど
幻滅したのは水ノのことが気になるからで
気がない人だったらどーでもいい
それに…
彼女がいるのかいないのかも
ハッキリしない水ノに
抱いて欲しいとか思った私は…
「水ノ…バカだね
あの時から、ぜんぜん成長してないじゃん
…
ふたりとも
成長してないよ
…
私も、バカだよ」
「ちょ…それオレが言うセリフだから…
なんで自分で言うんだよ
…
吉永も、バカだよ
酔った勢いとかで
吉永のこと、抱けるわけないだろ」
「そぉ…
…
じゃあ、どーしたら
抱いてくれるの?
…
もともと抱く気ないでしょ
…
ハー…」
溜息をついた私を
水ノはゆっくり抱きしめた
「言っとくけど
もぉ酔ってないから…」
さっきの涙とは
違う感情で目が熱くなる
水ノ、こんなことできるんだ
ちゃんと成長してるじゃん、水ノ
「水ノ…バカ…」
褒めてなんかやらないよ
水ノ、震えてる?
「ヤバ…
純情じゃなくオレの心臓なってる」
水ノ、そんなに緊張してるの?
「水ノ…
嫌ったりしないから大丈夫だよ」
そう言ったら
水ノの腕がもっと私を抱きしめた
お互い、好きだよとは言えなかったけど
コレが今の私たちの精一杯



