「昨日はスミマセンでした!」
水ノがシャワーしてきて謝った
「なんで敬語?
別にいいよ
あ、ホテル代は自分でお願いします」
「もちろん
吉永のぶんも払わせて!」
「それはいいよ」
「あ!吉永、飛行機間に合う?」
「うん、夕方の飛行機だから」
「じゃあ、まだ一緒にいれる?」
「一緒に…?水ノと?」
「なんか用事あった?」
「え…別に…ないけど…」
じゃなくて!
「水ノは?大丈夫なの?」
「大丈夫って?」
彼女とか…
そーゆー
「私なんかといて…」
「うん、今日は吉永のために空けといた」
「私の、ため?」
「うん
久しぶりに会うしさ…」
私のため…とか
なんかちょっと嬉しい
じゃなくて!
ちゃんと聞かなきゃ
「ねぇ水ノ
彼女いないの?」
「なに?唐突に?」
「いたらこーゆーのよくないな…って…
また変に誤解されても嫌だし…」
「えっ!?
やっぱオレ、昨日なんかした?」
「だから、なにもしてないって!
もしかして水ノ
こーゆーことよくあるの?」
「こーゆーことって?」
「酔って女の人とホテルで…って…」
「…」
答えろ!
3.2.1…
「あるんだ…」
「や、覚えてないんだけど…
大学の時とか
たぶん…あったような…」
「へー…」
「ほら、先輩に結構飲まされてさ…
起きたら…みたいな…
え、みんなあるっしょ」
「私は、ナイ!」
「スミマセン…
見損なった?」
「もともと水ノに何も期待してないよ」
水ノ
そーゆー大人になったんだ
少しがっかりした
彼女のこともハッキリ答えないし…
いるんじゃないの?
「吉永は?彼氏どーなの?」
「彼氏?彼氏なんていないよ」
「へー…今いないんだ
じゃあ、聞き方変える
彼氏いたの?」
過去系にされてもいないよ
「いないよ」
「オレと吉永の仲じゃん
隠すなよ」
隠すこともなかった
水ノと別れてから
いない
「私と水ノって、今現在どんな仲なの?」
マスカラを塗りながら水ノに聞いた
「どんな…?
友達で…元カノ…?」
「そこ、疑問形?」
とりあえず元友達じゃなくて安心したけど
付き合ってたことを疑問系にされて
なんかちょっとショックだった
「吉永、オレと付き合ってたの覚えてた?
オレがダメダメで
忘れたい過去かな…って…」
覚えてるよ
忘れるわけない
だって…
あの時
私はまだ水ノのこと好きだったのに
いきなり別れを告げられて
気持ちの整理もできないまま
また友達に戻った
キスもしたよね?
アレ、キスだったよね?
キスの直後別れようってなって
それもショックだった
あれから彼氏いないのも
たぶん水ノを忘れられなかったから
なのに水ノは…
でもあの時は
すごく好きだったんだ
私って
こんな男好きだったんだ
自分に腹立つ
「水ノが忘れたいなら
私も忘れるよ」
水ノは
忘れたい過去だったのか…
まぁいいけどね
「オレは忘れないよ
一生忘れられないって
前に言ったの覚えてない?」
私は覚えてるけど
水ノはもぉ忘れてると思った
言ったことさえ
「…」
わざと答えなかった
覚えてたとか言うの悔しいから
「覚えてないか…
…
付き合ってた時
吉永のこと好きなのに
なんかうまくいかなくて…
友達だった時の方が吉永も楽しそうだったし
オレがもっとリードしなきゃって
わかってたのにできなくて…
今更だけど、ホント、ごめん」
水ノ、それで別れたの?
今更遅いよ
「私が女の子じゃないから
水ノに呆れられたのかな…って思ってた」
そう思ってたから結構ショックだった
ホントに今更だよ
「そんなことないよ
オレ、スゲー吉永のこと好きで
好きすぎて付き合ってからなんか緊張して…」
ホントに?
そんなの知らなかった
ちゃんと言ってほしかった
でもさっきの話から
水ノのことちょっと信じられない
酔って起きたら朝だったとか…
ありえない
他の女の子にもこんなこと言ってるのかな?
って疑っちゃう
「そーゆーの同窓会とかで
よく使う手口でしょ!
お酒飲んで口説いて…」
「あー…そーゆーのあるよね」
そう言って
水ノは声を出さないで笑った
反省の色ナシ
でも…
ズルい
反則
その笑い方
私が好きなやつ
私も口説かれたいと思った
水ノのこと、まだ好きかも…



