…
「アレ…終わったかな?」
「そーだね、終わったぽい」
「みんな帰って行くね」
火薬の匂い
夏の草の匂い
「吉永、襟足の毛伸びたな」
水ノの手が私に伸びて
水ノの匂いが混ざる
ドキン…
首元に少し触れた指先に
ドキドキした
水ノ、うなじって言ってよ
襟足の毛ってぜんぜん色気ないじゃん
無理矢理感あるけど
浴衣に合わせて髪をあげてきた
「うん、人生で最長かも…
何気に暑いよ」
頑張ったんだよ、私
水ノのために
「オレも暑い
早く切りたい
この中途半端なんとかしたい」
伸びた前髪を
水ノが鬱陶しそうにかきあげた
水ノコンテストに出るために
髪伸ばしてるんだった
「やっぱり、私がコンテスト出ようか?」
「いいよ
ここまで我慢したし…
…
オレたちもそろそろ帰ろっか…」
「うん、そーだね」
水ノが立って
私に手を伸ばしてくれた
水ノに掴まって立とうとしたら
身体が痺れてて立てなかった
「待って…」
「ん?立てねーの?」
「ごめん、痺れた」
水ノがしゃがんで
近くなって
「今日、似合ってる」
そう言った
ドキン…
「ん?髪?浴衣?」
「どっちでもいいけどね…」
「投げやり!」
「や…そーじゃなくて…
どっちも似合ってるのどっちでも…」
え…
ダメ
ドキドキしすぎる
「帰ろっか!」
立ち上がったら
「キャー…」
水ノの上に崩れ落ちた



