高瀬柚菜(たかせゆずな)が産まれたのは、1987年秋



母親、父親共に24歳


母親側の実家に住んでいた。


一階に祖父母

二階に、柚菜達


父親は酒癖が悪かった。


酒癖が悪いと言うより、アルコール依存。



柚菜が小さい頃の記憶といえば、祖父と父親が毎晩の様に殴り合いの喧嘩をしていた。



毎日妹と泣きながら、部屋の隅に隠れる日々。



酒を飲んでいない父親は別人

優しく温厚で、いつもニコニコしている


父親の得意料理は、パスタを茹でて、スクランブルエッグをパスタの上にのせて、胡椒と沢山のケチャップをかけて食べる

シンプルだけど凄く美味しい


父親は、柚菜にとても優しい



目が合うと、父親は自分の膝をポンポンと軽く叩く

柚菜は、走って父親の膝に座る。柚菜の定位置



柚菜が幼稚園に入るか入らないかの時期に、離婚して父親は家を出て行った。





そこから地獄が始まる


母親は、夜スナックで働き出し、家に居ない事が増えていく。


そこから、祖父の暴力が始まった。


祖父は、自分の機嫌が悪いと二階に上がってきては、何かと理由をつけて殴る蹴るを繰り返した。




柚菜達は、母親が出かけて行く夕方がくるのが嫌で仕方なかった。何度も母親の手を掴み「行かないで」と言ったか。


母親は鬱陶しそうに、その手を払いのけるだけだった。