「大泣きしてる小夜の話を、七瀬は頭を撫でながらずっと聞いてただろ?」
「……言ってたよ。……1位になりたくて、たくさん走る練習をしたって。……本当に悔しかったんだろうね」
「小夜が感情的に泣き叫んでも、七瀬は嫌な顔しないで慰めてくれて。この運動会で一番カッコ良かったとか、転んだのに起き上がって、最後まで一生懸命走っって一番すごいって背中をさすってくれたり。一番大きい花丸をあげるって小夜に言いながら、空に向かって指で花丸を描く七瀬を見た時に思ったんだ。女神って、この世に存在するんだなぁって」
「ひゃっ!? わわわ、私なんかが……女神?」
東条くん、視力大丈夫?
授業中、ちゃんと黒板見えてる?
「俺には七瀬が女神に見えるんだよ。今、この瞬間もね」
私の腕に腕をこすり合わせながら、甘い瞳で見つめないでよ。
心臓……溶けちゃいそう……
「……私はただ……自分の弟にするように、小夜ちゃんを励ましただけで……」
特別すごいことをしたわけでもなくて……



