バスの中、総長様から逃げられない



声を出す勇気が出ない。

何か話さなきゃと焦れば焦るほど、喉がギューって締め付けられてしまう。



私はまだ、東条くんのブレザーを頭にかぶったままで。

両手で襟元を掴んでギュー。

顔全部を覆い隠すように、ブレザーの中にすっぽりと収まった。



はぁぁぁ~

視界に東条くんのブレザーしか入らなくて、うっすら暗いこの感じ。

心が落ち着くなぁ。

バスが空港に着くまで、どうかこのままで……



心から願ってはみたものの、安息の時間は長くはもたなくて


「俺の制服、ほんと邪魔。好きな子の顔が見れないから」


色っぽさを含んだワイルド声とともに、勢いよくはぎとられてしまった。



……うっ、好きな子って言われた。

表現がストレートすぎだよ。

低いイケボで甘い言葉をささやかれたら、心臓が痛いほど痺れちゃうのに。