バスの中、総長様から逃げられない


なんで東条くんの前を、通れると思ったの? 私は。

どう考えても不可能でしょ?

喧嘩で誰にも負けたことがないと噂の、最強総長様だよ。

東条くんからの逃げルートなんて、バスの窓から飛び降りるくらいしかなかったでしょうが!



私の脳内で、キケン信号がピカピカピカ。


――彼から一刻も早く離れた方がいい。


そう訴えるように、赤いランプが光っているけれど……



残念ながらもう手遅れ。



座席の前に立っている東条くんは、片腕で私の肩を抱くとニカっ。


私だけに、さわやかな笑みを浮かべたかと思ったら


後ろの席のクラスメイト達に向かって、大声を張り上げた。



「このバスが空港に着くまで、誰も俺たちに話しかけるなよ!」