「七瀬、自分の席に座って」 「……でも」 「俺の言うことを聞け」 「私は望月君ところに……」 「ったく……望月望月うるさいんだよ……」 「えっ?」 今、なんて言ったの? 東条くんの声が小さすぎて、聞き取れなかったんだけど。 バスの窓を背に立ち、フルフルと怯えている私。 東条くんはというと、完全なる苛立ちモード。 あぁ~もう!と両手で自分の髪をかき乱したと思ったら 勢いよく立ち上がって バン!! 私の後ろにある窓に、東条くんは両手をついた。