「楽しみだね、修学旅行。」

「そうだな。寺巡りは嫌だけど、友達と旅行はいいな。」



今私と純ちゃんは、純ちゃんの部屋で一緒にテレビを見ていた。


話題はもちろん修学旅行。

だけど、気になるのは中村君。


「ねぇ純ちゃん?私と中村君が同じグループで、気を遣わない?大丈夫?…私、なんかぎこちなくして雰囲気悪くしちゃいそうで…。」

告白されて断った事をいつまでも気にしちゃ駄目だってわかってるし、『友達になって』って言われたから、普通にしなくちゃいけないんだけど…。


「明日香、気にし過ぎ。健太は、もう明日香の事引きずってないよ。…本人に確かめた訳じゃないけどな。大丈夫だから、普通に話してやって?」


純ちゃんは私の頭を撫でながら、言い聞かせる様に言った。


「うん。」


そうされるだけで安心出来る。

私にとって純ちゃんの手は魔法の手だ。