それを見た妙子が大きな声で笑う。
10人分の答案用紙が教卓の上に積まれていく。
今日はこの後先生がテストを採点して、その間生徒たちは自主勉強をする。

答案用紙が返却されれば、すべての授業が終わって帰れる予定になっている。
帰宅してから、テストで間違えたところを復習するのだ。
3年生に上がってからは毎日この繰り返しだった。

他のクラスもテストの回数は増えたようだけれど、特進クラスほどじゃなかったし、部活動を続けている生徒もまだいる。
特進クラスの10人は3年生に進学すると同時に部活動をやめていた。
「今度はもう少し簡単な問題にしてくれよぉ」

窓際の席から文句を言ったのは岩本利秋だ。