妙子を食べた化け物は更に強靭になり、グラウンドに丸くなって座っていた。
その呼吸音まで今は教室内に聞こえてきている。
「誰か、ニュースを確認した?」

郁が誰にともなく質問する。
ここに隔離されていても電気や電波は届いているから、ニュースを確認することはできた。

「定期的に見てるよ。だけど特になにも進歩はないみたい」
答えたのは理沙だった。

理沙は自分のスマホを握りしめて左右に首を振る。
ヘリも戻ってくる気配がないので、国は考えあぐねているのだろう。

時折飛んでくる中継のヘリも今はその音が聞こえてこなかった。
「私達、見放されたのかな……」

理沙の言葉に教室の中に重たい空気が沈殿していく。
化け物が現れてからもう7時間は経過している。

それでもなにも進展がないのは、絶望的な気分になる。
「大丈夫、きっと、うまくいく」