「もしかして、彼氏が手出してこない系?あ、わかった。その彼氏、朱里ちゃん以外とヤッてるよ」


「なっ……!勝手なこと言わないで!黒炎君はそんな人じゃない!!!」


私は大声で叫んだ。まわりのことも気にしないくらいに。恋人のことを赤の他人に悪口言われて黙ってるほど、私は大人じゃない。


「大学生にもなって君づけ?つーか、今時大学生でヤッてない男とかいないでしょ(笑)その黒炎とかいう男も朱里ちゃんに隠れてどっかでヤッてるって」


「……っ」


その言葉に私は涙が止まらなかった。

信じたくはない。けど、もしも……なんてことを考えると。


「だから、朱里ちゃんも気持ち良くなろ?」


「……」


ぎゅっと握られた手を離そうとした。が、力強く握られ離すことが出来なかった。


そのまま引き寄せられて、唇を奪われそうになる。


「い、やっ……!」


私は精一杯の力で抵抗した。だが、勝てるわけもなく。あぁ、どうして、こんなことになってしまったんだっけ。今では思い出すことすらできないよ。


「お前、俺の大事な女に何しようとしてんだ」


その時、後ろから低い声が聞こえた。

振り返らなくても誰だかわかる。


「黒炎君……!」


私はぎゅっと黒炎君に抱きついた。


「怖かったな。来るのが遅くなってごめん。俺たちは帰るから、お前たちは合コン楽しんでくれ。それじゃ」

そう言って、私の手を強く握りしめ、私たちはその場をあとにした。