*蒼side*
「パパ…」
診察室から出てきた夏来が、見送る看護師に手を振りながら小さいマスクを口元に上げた。
「終わった?」
「うん…」
「えらい。少し楽になったでしょ?」
「うん…良くなった」
「よかった。お会計したら帰るからね」
求められた手を繋ぎ、会計待合室へ向かう。
「パパ…」
「ん?」
「アイスが食べたいの…」
「…なんのアイス?」
「バニラのアイス…」
「おうちにたくさんあるよ?」
「でもいま食べたいの…」
「帰ってからにしよう」
「…わかった」
病院に来たらアイスクリームがお決まりになりつつあるな、と思っていたら、見覚えのある白衣姿が視界に入った。
「ふっ…また会ったねえ」
夏来の頭を撫でた奏太が、両手に握られたミニカーを見て嬉しそうに笑った。
「一緒に頑張ったんだね」
「うん…持ってると強くなった気がするの」
「そうかあ。えらいな」
「…ね、せんせい?また家に来る…?」
「うん、また遊びに行く。行ってもいい?」
「うん…あのね…来てほしいの」
正直に奏太を求める様子に笑いがこみ上げた。
少し驚いた顔をした奏太が、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「今度行くよ。また見せてね?ドクターヘリ」
「わかった…!」
*おわり*


