「──ほらね〜、私が言った通りっしょ? 文乃は貢がれる側なんだってぇ」
「分かる〜おじさんもそう思う〜、文乃ちゃんは余裕のある男じゃないと釣り合わないんだってぇ」

 喫茶店のカウンター席には、数年ぶりに再会した大学時代の友人、佳奈が座っていた。そして何故か店主もその隣に腰掛けて「分かる」とギャルのように頷いている。

 その向かい、昴との経緯を洗いざらい吐かされた文乃は、耳を赤くしたままコーヒーを佳奈の前に出した。

「だから貢ぐとか言わないでよ……」
「え、だってティーカップは序の口でヘアアクセとか服まで貰ったんでしょ? しかも次はペアウォッチと来た! くぅ〜ッ圧倒的財力! そしてドン引きの独占欲!」
「こ、こら!」

 好き放題に言う佳奈を叱りながらも、文乃は思わず笑ってしまう。久々に聞く彼女の明け透けな物言いは、相変わらず嫌味がない。

 退職する前に遠慮せず話を聞いてもらっていたら、会社も元彼もボロクソに言ってくれたことだろう。ついでにストレスも緩和されたかもしれないなと、文乃は苦笑する。

 ──しかしそれだと昴とは会えていなかった可能性もあるので、何とも言い難いが。