拝啓 深瀬涼 様

 君の,おかげなんだ。
 君がいると,空気も心も周りも全て和らぐんだ。
 だから,(りょう)。君にはずっと,笑っていてほしかった。
 たとえ,君の世界が残酷でも。たとえ,君の世界が色褪(いろあ)せても。たとえ,君の世界から私が消えようとも……。
 お願いだから,君には笑っていてほしかった。幸せになってほしかった。
 ずっとずっと,生きていて……。それを私の最後のお願いにするから。


 涼。深瀬(ふかせ)涼くん。あなたのことをずっと,深く,愛しています。
 あなたが笑うと,すごくすごく嬉しくなります。でも,あなたが泣くと,すごくすごく悲しくなります。
 君は私のことをよく「泣き虫だ」と笑っていたけれど,それはあなたの閉ざされた心の奥深くに触れたから。
 いつも優しく笑った仮面をつけている君の胸にしまった悲しい悲しい過去は,まだ誰も知りません。
 でも,あなたが助けを求めれば,必ず,必ず誰かが助けてくれる。絶対に。
 だから,時にはもっと“自分“をさらけ出して。信用できる人だけでもいいんだよ。
 そうしたら,君はきっと心からの笑顔で,心から笑える。あの時,私に見せてくれたあの笑顔は,決してニセモノなんかじゃなかったはずだから。


 長くなりましたが,最後に。
 私は,あなたの幸せと笑顔を心から願っています。
 どうか,ずっとお元気で。

深瀬 涼様 
                                                    小林(こばやし) 雨美(うみ)