純色ロマンティック

理斗(りと)、帰ろうぜー」



放課後、ゆっくりと帰り支度をしている俺に、友達の加藤が近寄ってきた。

鞄を肩にかけ、すっかり帰る準備万端である。



「あー……、」



だらけた返事を返しながら、ちらりと視線を走らせる。

視線の先は、言わずと知れた学年1の美少女、孤高に咲く1輪の氷の花、柏木希羽《かしわぎ きわ》さん。


はぁ……。

今日も柏木さんの周りにだけ、輝くダイヤモンドダストが舞っている。(幻覚ではない)

ちらちら細かい光を反射する氷の結晶に負けない、柏木さんの凛々しさと透明感から惹き付けられる。



「(柏木さんには見るものすべてを引き寄せる、万有引力がある!)」



ニュートンよ、すべてのものが宙を彷徨わないのは地球の引力のせいじゃない。

柏木さんから放たれる、その魅力の引力だ。今度、俺が証明しよう。



あー、ずっと見ていたけど……。

そんなことしたら、柏木さんの楽しみを潰してしまう。


吸い寄せられている視線を引力に抗って元に戻すと、視界の端に柏木さんが教室から出ていく気配が映る。



「(よし、第一段階、完了)」



ほっと胸を撫で下ろす。

しかし、これはあくまで第一段階であって、本来のミッションはここからである。


そう、俺の毎日のミッション。

それは。



「(柏木さんにいかに心置きなく、俺のストーカー行為をしてもらうか)」



そのために、俺は日々、心を砕いている。

いや、そんなもんじゃないな。


むしろ。


それがなかったら、俺はとっくに死んでいる。マジでな。