「……〜〜っ!」



あまりにも甘い遥陽に悶える私。


なんとも言えない空気になり、そのまましていると遥陽は名残惜しそうに私から離れる。



「……そろそろ行こうか」


「うん……今日はありがとう」



顔を真っ赤にしたまま、私はお礼を言った。


そこからはお互い無言で支度をして、駅まで歩く。


幸いといっていいのか分からないけど、遥陽のお母さんはまだ帰ってきていないらしく、会わずに1日が終わった。



「それじゃあまたね」


「うん。また今度」



無事に駅について、電車に乗り込む。


ドアの前で遥陽にバイバイしてから席に座り、ぼーっと外を眺めていた。


なんだか今日は色々ありすぎて勉強内容を思い出せない。このままじゃいけないとわかっているけどそんなことはどうでも良くなった。



「……遥陽……」



遥陽の名前をぽつりとつぶやく。


初めての彼氏。初めてのキス、初めての名前呼び。


色んな“初めて”を経験できて、私の心は満たされていた。