「どういう知り合い?」
坂井さんが厨房に入ったのを確認して、菱田くんに聞いた。
「従兄弟。バイト代入ったらだいたいここでメシ食ってる」
「へぇ…。それなら修学旅行の時くらいカレー作って皆んなでワイワイ食べればいいのに」
「面倒くさい。委員長こそ、修学旅行のときくらい羽目外せば?」
クラスメイトに嘘をついて、学校行事なのに何故か定食屋さんでご飯食べようとしているなんて、私にとったら十分羽目を外している。
「これ。十分外してるんだけどっ」
口の横に手をかざし内緒話しするようにそう訴えると、菱田くんが「どんだけマジメだよ」と笑ったので、私も釣られて笑った。
「お待たせしましたー」
そんな話しをしていたら、さっき勢いで頼んだ大盛り生姜焼き定食が運ばれてきた。
思ったより小盛りでホッとしていると、坂井さんが「本当に大盛りが良かった?」と微笑んだ。
確かに菱田くんの大盛りより私の方が少なかった。
「い、いえ!このままで大丈夫です…」
菱田くんに対抗して大盛りを頼んだのはバレバレだったようだ。



