それから、商店街を少し歩いて探してみたけれど、彼は見つからなかった。
「もう…どこ行ったの」
ひとり呟きながら宿泊施設までの道をトボトボ歩く。
財布も無いからバスにも乗れなくて、足が痛い。
何やってるんだろう、私。
その場に膝を抱えてしゃがみ込んだ。
「だ、大丈夫?」
その時、聞き覚えのない声が降ってきて、顔をあげるとそこには知らない男の人が立っていた。
「…え」
立ち上がって、一歩後ろに下がると、その人は一歩私に近づいた。
なんか、いやだな。
「あ…大丈夫、です」
と声を発すると、その人はニタリと笑う。
「僕の家に、来る?」
怖くなって、声が出なかった。
でも、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。
探していた、声。
「宮原!!!」
振り返ると、菱田くんが走って来ているのが見えた。



