修学旅行からはじまる恋の話




楽しいはずの修学旅行は、沈んだ気持ちのまま最終日を迎えた。


あれから菱田くんとは喋っていない。


いなくなることも無かったから、私が探しに行くことも無かった。






「飛香ぁ、お土産どうしよう」


やっちゃんがカゴいっぱいのお菓子を私に見せながら言った。

「どうしようって、やっちゃん買いすぎだよ」

「でもさぁ、全部美味しそうだし、期間限定とかあるし…」

やっぱりこれはやめようとか、こっちも欲しいかもとかブツブツ言いながらお土産を吟味するやっちゃんを見て、思わず笑みが溢れた。


学校の宿泊施設に戻る最終日。


私はスマホの待ち受けにした雷門での写真を眺める。


もう、こんな風に写真撮ることなんて、無いのかな。




なんて、感情に浸っているとバスの集合時間を知らせるアナウンスが流れた。