「えぇ!菱田に拉致られた?!」
「あはは…やっちゃん、声が大きいよ」
「ごめんごめん。確かに飛香、菱田を探しに行ったきり戻ってこなかったよね」
私はまだお風呂に入っていなかったので、その準備をしながら説明をした。
「菱田あいつほんと無茶苦茶だなぁ。飛香をヤンチャな道に引きずり込まないでほしいわ」
呆れたようにそう言ったやっちゃん。
「菱田くんが被ってくれて私は何のお咎めも無かったからいいんだけど」
「そういう問題じゃないの。…あ!!」
やっちゃんが何かを思い出し、すごい表情をして頭を抱えた。
「どうしたの?」
「明日の自由行動、菱田も一緒だった…」
「えっ!?でも、今朝決まったグループ分けでは違ったよね?」
「色々諸事情があって三島っちと菱田がトレードしたんだよ」
「そんなぁ…」
楽しみにしていた修学旅行2日目。
どうしたら菱田くんに振り回されずに楽しめるか。
そんなことばかりを考えて、よく寝られなかったのは言うまでもない。



