「行ってきます」 そう声がしたと思ったら、玄関から制服姿の美咲が出てきた。 ……よし。 頑張れ、オレ! 「…はよ」 やっとの思いでそう口に出すも、美咲からの返答は無い。 代わりに、冷たい視線をオレに向けてくる。 「…や、たまには一緒に登校しようかなーと思ってさ」 わざと何もなかったフリ。 明るく振る舞った。 「私、一人で行くから」 「じゃあついてく」 「や、やめてよ!」 先を歩こうとした美咲が、慌てて振り返る。 …何だよ。 一緒に歩くのさえ嫌ってか。