『櫻井くん』 オレをそう呼んだ美咲の顔が、頭に焼き付いて離れない。 ……なぁ。 なんでいつもみたいに“宏ちゃん”て呼ばねーんだよ! 「宏太ってば!聞いてるの?」 「…うるせー」 「なっ…!何よそれ! もういい、別れるから」 「勝手にすれば」 「…サイテーッ!」 バチン! 頬に痛みが走る。 …でも、それ以上に痛かったのは心だった。