「…あの、」 小さく声をあげた私に、言い争っていた二人が気づいて振り返る。 「何よ!」 女の人は、今にも殴りかかってきそうな勢いだ。 「…私、向かいに住んでる者です。 今日は母に頼まれて来ただけで、櫻井君とは何の関係もありませんから。」 「……美咲」 ねぇ、宏ちゃん。 これで良かったんでしょう? 私と宏ちゃんは、ただのお向かいさん。 ただ、それだけの関係。 そうだよね……?