球技大会当日。
朝のSHRが終わり次第、校庭や体育館など、出場種目が行われる場所へと移動しなければならない。
球技大会は二日間に渡って行われ、予め割り振られたブロックごとにトーナメント戦で対戦する。
だから、初戦で負けるとそこで終了なのだ。
「いいか、俺らはやるだけのことはやった。人事を尽くして天命を待つ」
「「「「うっす!!」」」」
「ミスを恐れるな、取られても取り返せばいい」
「「「「ハイッ!!」」」」
「お前らは一人じゃない。四十人揃って一年C組だっ!」
完全にクラスのリーダーと化した仁。
担任の存在などお構いなしにSHRを仕切って、クラスメイトを鼓舞する。
けれど、担任の最上が声掛けするよりも明らかにクラスのが士気が上がるのは歴然。
最上は、いい形でクラスに馴染んでる仁と鉄を温かく見守っていた。
「それと、頑張った奴にはうちの学校の購買で販売してる『限定十個のバナナプリン』を俺が入手してやる」
「えっ?!バナナプリンっ??」
「食いたい奴は死ぬ気で頑張れ、いいな?」
「「「「おぉぉっっっ!!!」」」」
「俺、小中バスケやってたから、最多得点狙いますっ!!」
「おぅ、期待してるぞ」
「俺も、ぜってぇシュート決めてやるっ!」
「その意気だ」
焼肉や寿司というご褒美だけでも十分すぎるのに、『伝説のバナナプリン』は反則技のような絶対的魔術だ。
未だに一年C組でバナナプリンを食べたことのあるのは、仁たち四人しかいない。
ベランダから飛び降りるという神技でしか手に入れることができないと擦りこまれたようなもの。
だからこそ仁たち以外のクラスメイトは、この絶好のチャンスを逃すまいと俄然やる気が出るのだ。
「準備はいいか?」
「「「「はい!!」」」」
「一年C組、カチコミだーっ!!」(敵陣に押しかけること)
「「「「おおおおぉぉぉ~~っ!!」」」」



