姐さんって、呼ばないで


「ん~~っ、贅沢ぅぅ~っ!!」
「すっげぇ、何この量ッ!?テーブルに置き切んねぇっ!」
「相変わらず、凄い量っすね」
「冷めないうちに頂くとするか」
「うぃっす!!」

別館の大広間に勢揃いした俺らの前に用意された夕食は、舟盛りを始め土瓶蒸しや天ぷら、まぐろのカマ唐揚げなど豪華な料理がテーブルいっぱいに並べられている。

「飲み物も好きなだけ飲んでいいぞ」
「マジですかッ?!!」

一応、未成年ということもあるから酒の提供はなし。
その代わり、ジュースは無制限で飲むくらい罰は当たらねぇだろ。

「ウーロン茶ですか?」
「ん?……あぁ」
「注ぎますね」
「ありがと」

向かいに座る小春が、俺のグラスが少なくなっているのに気づき、注ぎ足してくれた。

小春の高校生活や仲間と過ごすことを全力で応援したい。
ただそれだけ。
彼女が楽しく過ごせるなら、俺はどんなことだってしてやるつもり。

「兄貴、準備ができたみたいっす」
「そうか。じゃあ、始めろ」
「うっす」

鉄がパンパンと手を叩くと、襖の奥から組のテカ(子分)たち数人がミニスカートにピッチピチのTシャツ姿で現れた。
軽快な音楽に合わせ、がたいのいい男がチアリーディングする。
筋肉隆々の足が見事に揃い、宙を切り、上段蹴りのごとく振り上げられる。
そんな様子を腹を抱えながら見るクラスメイト達。

小春も、驚きながらもあまりに華麗に舞う彼らに思わず吹き出している。

約四分ほどのチアリーディングが終わると、テカたちは着ているTシャツをその場で脱ぎ捨て、Vの字型に整列した。

「何、なにっ?!まだあるの??」

みんなの視線が鍛えられた上半身に釘付けになった、次の瞬間。