*
「近所にこんな所があったんですね!」
「ここはうちの組の奴らも結構贔屓にしてる」
「……そうなんですね」
小春はここでの記憶もなくなっていた。
本当に俺に関する記憶が全て消えてしまってるんだな。
組から歩いて数分の距離にあるバッティングセンター。
大通りから中に少し入った場所にあって、目に付きにくい。
こんな所で商売してて本当に儲かるのか心配にもなったが、ここの大本はうちの親父の知人が経営しているゴルフ場らしくて、ここは趣味でやってるのだとか。
だから、俺も幼い頃からここに連れて来られた。
「よーし、勝負しようぜ」
「は?勝負って、私が負けるに決まってるじゃないですか」
「ハンデくらいやるよ」
「ハンデ?」
「あぁ、俺は右利きだけど、左打ちにするから」
「……」
「速度も、好きなやつ選んでいいし」
「それなら……」
渋々といった表情で球速を選び始めた小春。
このルールは昔から変わってない。
「あっ、若と姐さんっ!」
「おっ、お前らも来たのか」
「軽い運動っす」
組の若い奴らが三人。
球速を選んでる小春に話しかけ始めた。
「姐さん。姐さんの得意なクラスはこっちっす」
「え?」
「いつも、七十か八十のでかっ飛ばしてったっすよ」
「えっ、私、ここに来たことがあるの?」
「……あぁ、はい。若と姐さんはここの常連っす。確か、向こうの壁にホームランの記録が貼ってあるっすよ」
「えぇっ?どこどこ??」
組員に連れられ、歴代ホームラン賞を取った人の名前が書かれているブースへと。
「近所にこんな所があったんですね!」
「ここはうちの組の奴らも結構贔屓にしてる」
「……そうなんですね」
小春はここでの記憶もなくなっていた。
本当に俺に関する記憶が全て消えてしまってるんだな。
組から歩いて数分の距離にあるバッティングセンター。
大通りから中に少し入った場所にあって、目に付きにくい。
こんな所で商売してて本当に儲かるのか心配にもなったが、ここの大本はうちの親父の知人が経営しているゴルフ場らしくて、ここは趣味でやってるのだとか。
だから、俺も幼い頃からここに連れて来られた。
「よーし、勝負しようぜ」
「は?勝負って、私が負けるに決まってるじゃないですか」
「ハンデくらいやるよ」
「ハンデ?」
「あぁ、俺は右利きだけど、左打ちにするから」
「……」
「速度も、好きなやつ選んでいいし」
「それなら……」
渋々といった表情で球速を選び始めた小春。
このルールは昔から変わってない。
「あっ、若と姐さんっ!」
「おっ、お前らも来たのか」
「軽い運動っす」
組の若い奴らが三人。
球速を選んでる小春に話しかけ始めた。
「姐さん。姐さんの得意なクラスはこっちっす」
「え?」
「いつも、七十か八十のでかっ飛ばしてったっすよ」
「えっ、私、ここに来たことがあるの?」
「……あぁ、はい。若と姐さんはここの常連っす。確か、向こうの壁にホームランの記録が貼ってあるっすよ」
「えぇっ?どこどこ??」
組員に連れられ、歴代ホームラン賞を取った人の名前が書かれているブースへと。



