姐さんって、呼ばないで


「食べないのか?」
「え?あっ、いただきます!」

隣りに座る仁さんが見つめる中、両手を合わせて箸に手を付ける。
お出汁の香りもよく、本格的な手打ちうどんだ。

つるつるっと一口頬張る。

「美味しいっっっ!!」
「あら、口に合うようで良かったわ」
「コシがあってもちもちしてるし、おつゆも優しいお出汁の味が本当に美味しいです!」

この間のすき焼きも美味しかったけれど、私は庶民派だから、こういうものの方が口に合ってる。

こんな風に歓迎会のような場を設けて貰えること自体、有難い。
ここにいる彼らと約一カ月共に生活をする。

来るまでは不安の方が多かったけれど、今はわくわく感の方が多い気がする。

「そんなに慌てて食べなくても、うどんは逃げないぞ」
「んっ……ぉぃひふぇへっ(美味しくて)。ッ?!」

口いっぱいにうどんを頬張っていると、口元におつゆが飛んでいたようで、彼が指先で拭ってくれた。

「姐さんっ、おかわりありやすっ!」
「ふぇっ?」
「たくさん作ったんで」
「小春はうちに来ると、いつもおかわりしてたから」
「ッ?!!」

普段はそんなにたくさん食べないんだけど、うどんは別腹。
ついつい目が輝いてしまった。

おかわりするのは自宅だけだと思っていた。
ここでもおかわりするほど食べていただなんて。
それほどまでに、ここでは素でいられたんだろうな。

*

結局、替え玉の要領でおかわりしてしまった。
お母様も組員の人も、『作り甲斐がある』だなんて言ってくれたけど。
あまりの食べっぷりに嫌になったりしないだろうか。

「もう無理っ」
「フフフッ、結構食べたな。散歩がてら軽い運動でもするか?」
「え?」