姐さんって、呼ばないで


「食べないのか?」
「え?あっ、いただきます!」

隣りに座る仁さんが見つめる中、両手を合わせて箸に手を付ける。
お出汁の香りもよく、本格的な手打ちうどんだ。

つるつるっと一口頬張る。

「美味しいっっっ!!」
「あら、口に合うようで良かったわ」
「コシがあってもちもちしてるし、おつゆも優しいお出汁の味が本当に美味しいです!」

この間のすき焼きも美味しかったけれど、私は庶民派だから、こういうものの方が口に合ってる。

こんな風に歓迎会のような場を設けて貰えること自体、有難い。
ここにいる彼らと約一カ月共に生活をする。

来るまでは不安の方が多かったけれど、今はわくわく感の方が多い気がする。

「そんなに慌てて食べなくても、うどんは逃げないぞ」
「んっ……ぉぃひふぇへっ(美味しくて)。ッ?!」

口いっぱいにうどんを頬張っていると、口元におつゆが飛んでいたようで、彼が指先で拭ってくれた。

「姐さんっ、おかわりありやすっ!」
「ふぇっ?」
「たくさん作ったんで」
「小春はうちに来ると、いつもおかわりしてたから」
「ッ?!!」

普段はそんなにたくさん食べないんだけど、うどんは別腹。
ついつい目が輝いてしまった。

おかわりするのは自宅だけだと思っていた。
ここでもおかわりするほど食べていただなんて。
それほどまでに、ここでは素でいられたんだろうな。



結局、替え玉の要領でおかわりしてしまった。
お母様も組員の人も、『作り甲斐がある』だなんて言ってくれたけど。
あまりの食べっぷりに嫌になったりしないだろうか。

「もう無理っ」
「フフフッ、結構食べたな。散歩がてら軽い運動でもするか?」
「え?」