姐さんって、呼ばないで


「たっくん、私が三人目じゃなかったの?」
「は?」
「だってこのゲーム、経験した人数が分かるゲームだよ?」
「はぁ?」
「何、七って。……私七人目だったの?」
「……いや、三人目だって」
「今の間、何?」

うわっ、二分ほど前まではラブラブだったのに、物凄く険悪なムードだよ。
左隣が気になりすぎて、変に左側だけ緊張する。

「今、変なこと考えてんだろ」
「……っ」

耳元に呟いた仁くんは、お隣のカップルの喧嘩を遮るように私の肩を抱き寄せた。

正直、仁くんの経験人数が知りたいと思ってしまった。
私より三歳年上だし、モテるしカッコいいし、私の知らない交友関係があってもおかしくないし。
だけど、少なからず『彼女』でいるわけだから。
そこは『ゼロ』であって欲しいなと思ってしまう。

そんな私の脳を見透かしている彼は、意地悪そうな顔して笑いを堪え始めた。

「何、知りたいの?」
「……べ、別に」
「いいよ、教えても」
「知りたくないです!」
「遠慮すんなよ」
「聞いてもいい気分じゃないし。せっかくのクリスマスデートなのに」

けど、知りたい。
好きになった人の数とか、キスしたことのある人数とか。
仁くんのことは私が一番何でも知ってると思ってたけど、もしかしたら違うのかも。

「そろそろ行くか」
「……ん」

一時間ほど休憩した私たちは、広場を後にした。

*

桐生の家に戻り、毎年恒例のクリスマス会を楽しんだ。
夏休み旅行で見たような余興が繰り広げられ、鉄さんのマジックショーも。
余興で芸を披露した人にはパパさんから金一封が贈られた。