姐さんって、呼ばないで


「たっくん、私が三人目じゃなかったの?」
「は?」
「だってこのゲーム、経験した人数が分かるゲームだよ?」
「はぁ?」
「何、七って。……私七人目だったの?」
「……いや、三人目だって」
「今の間、何?」

うわっ、二分ほど前まではラブラブだったのに、物凄く険悪なムードだよ。
左隣が気になりすぎて、変に左側だけ緊張する。

「今、変なこと考えてんだろ」
「……っ」

耳元に呟いた仁くんは、お隣のカップルの喧嘩を遮るように私の肩を抱き寄せた。

正直、仁くんの経験人数が知りたいと思ってしまった。
私より三歳年上だし、モテるしカッコいいし、私の知らない交友関係があってもおかしくないし。
だけど、少なからず『彼女』でいるわけだから。
そこは『ゼロ』であって欲しいなと思ってしまう。

そんな私の脳を見透かしている彼は、意地悪そうな顔して笑いを堪え始めた。

「何、知りたいの?」
「……べ、別に」
「いいよ、教えても」
「知りたくないです!」
「遠慮すんなよ」
「聞いてもいい気分じゃないし。せっかくのクリスマスデートなのに」

けど、知りたい。
好きになった人の数とか、キスしたことのある人数とか。
仁くんのことは私が一番何でも知ってると思ってたけど、もしかしたら違うのかも。

「そろそろ行くか」
「……ん」

一時間ほど休憩した私たちは、広場を後にした。



桐生の家に戻り、毎年恒例のクリスマス会を楽しんだ。
夏休み旅行で見たような余興が繰り広げられ、鉄さんのマジックショーも。
余興で芸を披露した人にはパパさんから金一封が贈られた。