「凄い混んでるね。……座れるかな」
「オンライン予約してあるから、大丈夫」
「さすが!」
何日か前に鉄に言われ、小春が観たそうな映画を栗原にリサーチ済み。
自動券売機で発券し、飲み物と軽食を購入して、上映予定のスクリーンへ。
*
「結構面白かったね」
「ラストが意外性あって、人気なのが分かるな」
ラブコメ調なのに、爽快感があって。
ラストはハッピーエンドなのに、単なる両想いになるというのではなく。
彼女の方のちょっと変わった性格?性癖??(大人しめな彼氏に乱暴な言葉遣いをして貰うのが堪らないという)みたいなものが発覚して(ウケて)。
無理やり言わされてる彼氏の、ちょっと今後の成長が楽しみ的な感じに仕上がってるのが、続編が切望されているのが納得というか。
今期話題作と言われるのが分かる気がした。
「ちょいちょいつまんでたから、お腹空かないね」
「ちょっと歩くか?」
「そうだね」
十三時を回ろうとしている時間帯だけど、少しお腹を空かせるためにも、ぶらぶらと歩くことにした。
「貸してみ」
屋外は当然寒い。
昨日俺の両親から貰ったマフラーを巻こうとしている彼女の手から受け取り、巻いてあげる。
「やっぱり色違いだったんだね」
「ん」
母親から無理やり押し付けられた袋には、ブルーのマフラーが入っていた。
「仁くんのは私が巻いてあげるね」
彼女が巻きやすいように少しかがむ。
辺りを行き交う人々の視線が向けられているのに気づくが、お構いなし。
普段人前ではベタベタしない派だが、今日くらいいちゃついたっていいだろ。
桐生組だとか、若頭だとか、体裁なんて気にしてらんねぇ。



