姐さんって、呼ばないで


クリスマスイヴだけど、本番は明日ということもあって、今夜のメニューは親子丼。
付け合わせの小鉢は、私の好きないんげんの胡麻和えと茄子の揚げびたし。
吸い物も優しいお味で、いつ食べても本当にお店の味なんだよね。

「今日のご飯も凄く美味しいです!」
「お口に合うようで良かったわ」

仁さんと鉄さんの姿はない。
パパさんは会合で遅くなるらしく、数人の組員とママさんと一緒に夕食を頂く。

「あ、そうだったわ!ちょっと待っててね」

席を立ったママさんは、慌てて部屋を出て行った。
そして、すぐさま戻って来たその手に、赤い袋が。

「これは私とあの人からのクリスマスプレゼントよ」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん♪」
「……ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「どうぞ」

プレゼントの中身は、ふわっふわのマフラーだ。
これって、カシミヤ?
マフラーの端部分に視線を落とすと『カシミヤ100%』というタグが。

「こんなにも貴重なもの、ありがとうございますっ」
「娘にあげるのは親の楽しみよ♪」
「っ…」

『娘』
昔からママさんは、『うちの娘です』って私を誰にでも紹介してくれたっけ。
事故を機に、一緒に外出することは無くなってしまったけれど、以前は母娘のようによく買い物にも出掛けていた。

こんな素敵な日をまた迎えることができるだなんて。
私は幸せ者だ。

彼を遠ざけて、組のみんなとママさんとパパさんの愛情も無視して、勝手に関係を断ち切ろうとしたのに。

「今日のご飯も、本当に凄くすごく美味しいですっっ」

下を向いたら涙が零れてしまいそうだ。