「人のこと言えないでしょ、羽依は」
「んー?」
手鏡を取り出して前髪チェック。
別にデートとか、そういうわけじゃないけど一応ね。
運命の出会いとかあるかもだし。
…うん。
「羽依ってずるーい」
「なにが?」
「そうやってすぐ男落とすくせに」
あたし、何も言わずにニコニコしとく。
痛いとこ突かれた。
そういうの繰り返してれば、いつかあの初恋を忘れられるかもしれないでしょ。
「次の彼氏の目処は立ってるの?」
「んー…これから探す」
「探すって…まぁ入学したてだしね」
そうそう。
高校ってさ、ほとんど知らない人だからね。
探し甲斐があるってものよ。



