「ヒヨ……今日、ずっと原田さんに絡まれてたね」
「あ? うん。でも羽依のことはちゃんと見てたよ」
…ずるい。
そんな言葉ひとつで、痛いくらい喜んじゃうのに。
ヒヨね。
なーんにもわかってないよ。
あたしのこと。
「あたしここまでどうやって来たの?」
「俺が運んだ」
「は……運んだって」
あたしの想像する通りの運び方?
それとも、普通におんぶ?
どちらにせよ…。
ヒヨに運ばれたっていう事実、恥ずかしすぎる。
事後報告だけどね。
心臓、ドキドキする。
「俺に運ばれたのそんなショック?」
「…え?」
顔が赤いのを隠すために俯いてたんだけど。
急に的外れなこと言われて、顔上げちゃった。



