バスケって見てるだけでも面白いんだね。
あたしもバスケにしたらよかったかも。
だけど、試合が終わると…。
あー、ほら。
真っ先にヒヨに駆け寄っていったのは原田さん。
低い位置でひとつに結んだ髪を揺らしながら、ヒヨにタオルを渡してる。
なんかなぁ、おもしろくない。
見たくなくて目をそらした。
体育館の床、いじいじ。
ヒヨも…。
原田さんのこと迷惑だって言うんなら、振り切ってこっちに走ってきてくれればいいのにな。
本人に言う勇気もないけどさ。
「はぁ」
「またため息?」
こんな喧騒の中、あたしのため息を拾う輩の声。
上から降ってきた。



