「…つーか、いらねえの。俺は」
「なんで? 女の子に興味ない感じ?」
それはそれでうれしいけどね。
でもヒヨが恋愛に興味なしなんて意外だなぁ。
「ないと言えばない」
「…変な言い方」
「ほんとにそうだし」
結局、意味わかんない。
別にいいけど。
ヒヨが彼女作る気ないなら、あたしの心は平穏だし。
『続きまして、1年7組対1年8組のバスケットボールの試合を始めます』
体育館に響き渡ったアナウンス。
ヒヨの出番だ。
立ち上がったヒヨを見上げる。
「がんばってね」
こっそり応援。
ヒヨは口角を小さく持ち上げて。
「ちゃんと見てろよ」
だってさ。
…うん、見てる。
離れていた10年分、しっかりヒヨの姿を目に焼き付けたいから。



