「でもさ、羽依」
「んー?」
「最近、一緒に帰ってくんないから俺も拗ねてる」
葵の顔を見上げると、ちゃんと拗ねたみたいに口とがらせてる。
その顔、かわいー。
葵ファンの子たちに見せてあげたい。
「ごめんね」
よしよし、って頭撫でたら気持ちよさそうに目を細めてくれるから、葵はきっと前世ワンちゃんなんだ。
確かに中学のときはずっと葵と一緒に帰ってたのに、最近はヒヨばっかりだったな。
だって、帰る場所一緒だし、断る理由ないんだもん。
「俺と同じクラスの男子と一緒に帰ってんでしょ」
「…知ってたの?」
「んー、風の噂」
なにそれ。
噂、こわ。



