ドアの前で立ってたヒヨの腕を引っ張って、さっさと校舎を出る。
これ以上突っ込まれるの、御免。
「あのさ」
「ん?」
「今日、別に家まで一緒に帰ろうってわけじゃないんだけど」
…あれ? そうなの?
あたしの早とちりじゃん。
もしかしてまだ学校でやることあった感じ?
だけど振り返ると、ヒヨも靴に履き替えてるからそういうわけじゃなさそう。
「じゃあなに?」
「いま、テスト週間じゃん」
「うん」
「土曜日、あいてる?」
靴、とんとんってつま先叩いたヒヨ。
もう言いたいことわかっちゃった。
「勉強会しよっか、ヒヨ」
見上げてそう言ったらね。
「マジ? …やった」
って嬉しそうに笑うから。
あたし、どんな顔していいかわかんないよ。



